| 睡眠について
睡眠は大きく二つに分けると、レム睡眠とノンレム睡眠に分けられます。
レムとはREM(Rapid Eye Movement)の略記です。
はじめ、ノンレム睡眠が出現し、入眠後約90分でレム睡眠に移行します。
これを一晩で90−100分ごとに4−5回繰り返します。
睡眠の調節には、
●脳幹の背側縫線核、
●橋の網様体背外側部(REM-on 細胞)、
●青斑核(REM-off
細胞)、
●視床下部の視索上核(サーカディアンリズム)
などが関係するようです。
◆ノンレム睡眠は、
血圧・心拍数・体温・呼吸数は低下し眼球運動はゆっくりで、脳波により四段階に分類されます。
睡眠第1段階(stage 1):α波の量・振幅・周波数が減少し、α波が記録の50%以下に減少した状態で後半から第2段階の初期にかけてhump(瘤波)が出現する時期です。(うとうと)
睡眠第2段階(stage 2:軽睡眠期)は、K complex(K複合波)・C-Pを中心に、14Hz前後のspindle(紡錘波)が出現するが、高振幅徐波が存在していない状態で、背景脳波としては低振幅のθ波・δ波等を含む不規則な脳波がみられます。(すやすや)
睡眠第3段階(stage 3:中等睡眠期)は、2Hz以下で振幅が75Hz以上の徐波が記録ページの20%以上、50%以下をしめる段階で、感覚刺激を与えてもよほど強い刺激でないとこれを知覚することができない熟眠状態です。(ぐっすり)
睡眠第4段階(stage 4:深睡眠期)は、2Hz以下で振幅が75Hz以上の徐波が、記録ページの50%以上をしめる段階です。(ぐったり)。第3, 4段階は徐波がみられるため徐波睡眠(SWS)とも言います。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆レム睡眠は、
急速な眼球運動(Rapid Eye
Movement)がみられる睡眠で、脳波上睡眠第1段階に類似した低振幅パターンが出現します。また筋緊張は低下しており脊髄反射は抑制されています。
この時、脳は覚醒状態に近い浅い眠りで、自律神経が活発に動き、その反面からだの力がすっかり抜けた状態となります。目は瞼の下できょろきょろと動き、からだは顔や手足がぴくぴく動いたりします。夢を見ていることが多い睡眠です。レム睡眠中の夢は鮮やかで強烈です。
◎ 睡眠の異常
◆ 不眠症:
いわゆる「眠ろうと思ってもなかな眠れない」ものです。大きく分けると原発性・精神疾患によるもの・身体疾患によるもの・物質関連(カフェインなどによるもの)があります。
原発性不眠症はいわゆる不眠症のことで、入眠困難(寝付きが悪い)・中途覚醒(途中で目が覚めてしまう)などを主な症状とし、それが少なくとも1ヶ月続くものです。健康な人でも眠れない日がありますが、それが何日も続くと、ばててきますから睡眠はとても大事ですね。
精神疾患によるものは、うつ病や精神分裂病など精神疾患に伴うものです。うつ病や精神分裂病に伴う不眠は、レム潜時の短縮、徐波睡眠の減少がみられます。要するに眠りが浅くなったりします。又うつ病の不眠としては早朝覚醒(いつもより朝はやく目が覚めるものです)が特徴的です。
身体疾患に伴うものは、痛みやかゆみなどをきたす身体疾患(癌やアトピー性皮膚炎、代謝性疾患など)に伴うものです。
物質関連のものは、コーヒー等の飲み過ぎで眠れなくなったものです。
◆ 過眠症:
不眠とは反対に眠気が続くものです。ピックウィッグ症候群などの睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーなどでみられます。
●睡眠時無呼吸症候群は、
10秒以上続く無呼吸状態が、夜間少なくとも1時間に5回又は一晩に30回認めるもので、肥満の方や高齢者にみられる場合があります。
この疾患はいびきをかくことが少なくなく、更に高血圧等の心血管障害の原因にもなるので、昼間に眠気があり、夜いびきをかく人は注意した方がよろしいかと思います。
●ナルコレプシーは、
日中の過度の眠気・入眠幻覚・情動脱力発作・睡眠麻痺(いわゆる金縛り)等の症状を認め、脳波上入眠時にいきなりレム睡眠が認められるようです。その他非定型うつ病のような精神病でも過眠がみられることがあります。
ナルコレプシー・・・睡眠発作
日中の眠気は、夜間の睡眠が不充分だったり熟眠出来なかった翌日におこります。また、退屈、社会からのひきこもり、身体的な拘束やうつ病においてもみられるものです。
しかし、日中に疲労感を覚え、エネルギーが出ない感じ、抵抗しがたい眠気に連日襲われるならば、それはナルコレプシーという慢性の睡眠の異常の病気を疑わなくてはならないでしょう。。
米国ナルコレプシー協会によれば、米国人の100人に1名はこの病気にかかっているといわれています。そしてその50−80%は治療されないままになっているともいわれます。ナルコレプシーの患者は一般人口に比べ睡眠時無呼吸症を持っている人が多いこともわかっています。しかし、睡眠時無呼吸症はナルコレプシーの主症状ではありません。
ナルコレプシーの発作に襲われると覚醒していることが生理的に全く不可能で、数秒から30分ぐらい眠りに陥ってしまいます。
その発作は、テレビ観覧中や、読書をしたり講演を聞いている最中にしばしば起こります。しかし、歩行中、食事の最中、バイクを運転しているとき、おしゃべりの真っ最中にも突然睡眠発作が起き、驚かされることがあります。
ナルコレプシーの研究はたいへん進歩してきているのですが、多くの患者の例で、このような睡眠発作が始まってから5−7年してやっと専門医を受診します。ナルコレプシーは10歳代の初めから起こりますが、しかし、どの年代からでもあります。初め症状は軽いのですが時間とともに重症になっていきます。
カタプレキシーを伴うナルコレプシー
ナルコレプシーの患者の耐えがたい眠気発作が初発症状のことが多いのですが、カタプレキシーとよばれる筋肉の力が突然抜けてしまう脱力発作も出現します。カタプレキシー発作は、笑ったり、怒ったり、興奮したり、驚いたりする情動の変化にともない誘発されます。
数秒間の筋肉の一部の脱力だったり、数分間続く筋肉の完全な麻痺であったりします。この発作中、患者はほぼ完全に虚脱状態で動いたり話すことも出来ません。しかし、意識を失うことはなく、その場の状況は認識しています。
ナルコレプシーはてんかんと誤診されることがよくあります。てんかんではしばしば糞尿失禁があったり、舌を咬みますが、ナルコレプシーではそのようなことはありません。
ナルコレプシーは、「なまけ、仮病、精神障害」と間違えられることがあります。ナルコレプシーの治療がなされないと仕事でも家庭生活でも支障が生じてきます。
ナルコレプシーは中枢神経の障害で完治させることは難しいと言われていますが、薬により症状をやわらげたり消失させることは出来ます。
ナルコレプシーにおける危険性
ナルコレプシーという病気を持っていてそれに気づいていない人が運転をすることは本人にとっても他人にとってもたいへん危険です。信号待ちの間に居眠りをするかもしれないし、わけのわからないところに走って行ってしまい、どうやってそこに到着したか全く思い出せないといったことが生じます。少なくとも500人のドライバーの中1人はナルコレプシーを持っていると言われています。
不幸なことに多くのドライバーはきちんと診断されていないか、この病気に気づかれていません。ナルコレプシーを正しく診断し治療することが交通安全対策の安上がりの一つの方法といえます。自分の症状をよく理解していれば、薬を服用することにより安全運転がなされます。
|
日中に過度の眠気に襲われ、居眠り病とも呼ばれるナルコレプシー。ナルコレプシーという病気とその治療方法にわたって、分かりやすく解説した冊子。
患者さんやその家族、そして、一般の人々もこの病気を正しく理解することが、治療につながると述べている。
|
|
■
|
監修: 菱川泰夫
|
|
■
|
著者: 角谷 寛
|
|
■
|
2002年3月8日 刊
|
|
■
|
B5判 ・ P12
|
|
|
|
|
掲載内容は Adobe Reader で閲覧することが可能です。閲覧は をクリックしてください。
Adobe Reader はアドビシステムズ社のサイト(無償)で入手してください。
本サイトでダウンロードされた「ナルコレプシーのすべて」は自由に再配布可能です。ただし著作権に関しては著者に帰属し、無断で改変や販売することを禁じます。
|
概日リズム睡眠障害:
健康な人の概日(がいじつ)リズム(サーカディアンリズム)は約25時間ですが、普通は外界の昼夜のリズムに同期しています。
その睡眠のリズムが狂ってしまったものです。
眠るべき時間に眠れず、又朝寝坊をしてしまう睡眠相後退症候群やいわゆる時差ぼけなどがあります。
睡眠時随伴症(パラソムニア):
夢遊症や寝言など、眠っている間に動いたり寝言を言ったりするものです。又レム睡眠行動障害といって、レム睡眠の時は正常では筋緊張が低下しているので動いたりできませんが、その筋肉の抑制が何らかの原因(Shy-Drager症候群やOPCA等でみられることがあります)でできなくなり、夢の中で体験した行動を実際に行うというものがあります。
快適な睡眠のためのアドバイスを。
◆まず規則的な睡眠スケジュールを守ることです。例えば、寝る前にお風呂に入るとか、起きた直後にストレッチ体操をするとか、自分なりの就寝・起床儀式を決めるのです。
◆朝起きたときに、明るい光を浴びることも大切です。寝室のカーテンは開けておくと目覚めがよくなるし、仕事場も明るい方がいい。
◆食事も3食を規則正しく、特に朝食は生体時計をスィッチオンするために重要です。 |